第205回 意匠学会研究例会

終了2011年2月12日(土) / 形態:対面

日時
2011年2月12日(土)
形態
対面
担当
佐藤敬二委員

プログラム

平成23年2月12日(土)
研究発表 14:00 〜 16:00
懇談会  16:15 〜 17:00


会場アクセス

京都精華大学 本館3階 305教室
http://www.kyoto-seika.ac.jp/
〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137
075-702-5100(代表)

※主要交通機関からのアクセス
1. 京都市営地下鉄「国際会館駅」から改札右方向、エスカレーター上った右手、スクールバスで所要時間約7分。スクールバスは10分間隔で運行。
2. 叡山電鉄「出町柳」から「京都精華大学前駅」へ約18分。


役員へのお知らせ

当日12:30より「302会議室」で役員会を開催いたします。役員の方々はご参集ください。


研究発表要旨 第205回 意匠学会研究例会

研究発表要旨亀野 晶子

蔵田周忠を中心としてみる東京高等工芸学校

発表の目的は蔵田周忠が在任していた当時の東京高等工芸学校の状況を現在から可能な限り明確にする事である。発表をふまえ最終的には日本の住空間において、日本の在来の文化に西欧文化がどのように組み込まれたか、または取って代わられたか等の状況を、それを消費し、使用する側から解き明かす事を目的とする。そのための調査の上で重要な人物として蔵田周忠を挙げる。
蔵田周忠は1920年結成の分離派建築会のメンバーとして知られる建築家である。しかし彼は建築家であると当時に建築ジャーネリズムの世界にも身を置き、多くの著作物を残している。そして東京高等工芸学校の教師として、日本のインテリア史の中で重要な位置を占める型而工房の中心人物として、建築だけでなく室内意匠の分野でも様々な影響を与えた人物である。其の蔵田周忠を軸としてみることで、西欧文化受容の多様な側面を見る事が可能になると考える。
その中でも今回は蔵田の東京高等工芸学校在任時の状況に焦点を当てる。東京高等工芸学校、京都高等工芸学校は共に工芸という名のあるように、西欧文化と合理化が同義語であった時代に「工芸」つまり日本の産業をよりよくする事を目的に開校された学校である。京都高等工芸学校は京都工芸繊維大学の前身の一つであり、そこに日本にアール・ヌーヴォーやウイーンセセッションの様式が実際にデザインとして広まるきっかけがあったと言われる事もある。同様に蔵田が教授として赴いた東京高等工芸学校にもデザインを巡る新しい考え方があったと考えられる。年代日本のインテリアに最も関心を持った人物達と言われている木檜恕一、森谷延雄が東京高等工芸学校にはいた。その中で蔵田はどのような役割を果たし、どのような思想をもつようになったのか、またどのような影響を与えたのか。それを探る事でその後の蔵田の活動の真意を見つける事が出来ると考える。亀野 晶子(京都工芸繊維大学大学院)

研究発表要旨秋丸 知貴

抽象絵画と近代照明―S・ギーディオン、L・モホリ=ナギ、G・ケペッシュ、R・バンハム、W・シヴェルブシュを手掛りに

近代照明は、抽象絵画にどのような影響を与えたのだろうか? 一九世紀以来、ガラス建築や人造光等の近代照明は、人間の知覚・視覚・意識等を様々に変化させた。本発表は、そうした近代照明による心性の変容が、近代造形における抽象主義に一体どのような感化を与えたのかを、ジークフリート・ギーディオン『空間・時間・建築』、ラズロ・モホリ=ナギ『ニュー・ヴィジョン』『ヴィジョン・イン・モーション』、ギオルギー・ケペッシュ『視覚言語』『造形と科学の新しい風景』、レイナー・バンハム『環境としての建築』、ヴォルフガング・シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史』『闇をひらく光』『光と影のドラマトゥルギー』等の諸論考を手掛りに考察する。
まず、鉄とガラスによるガラス建築は、天井や横壁を透明化することで、明るい陽光を屋内に均一に全入させる。そのため屋内からは、従来の不均一な暗闇は駆逐され、事物の陰翳に基づいて構成されていた閉鎖的で具体的な空間感覚は撹乱される。また屋内の事物は、没骨的な没輪郭性を失い形態が明瞭化すると共に、奥行的起伏性を喪失し形体が平板化する。
また、ガス灯や電灯等の人造光は、光源自体を天然光から解放することで、より強力で一様な明光で空間を充満させる。それにより屋内は、さらに純粋で抽象的な照明空間となり、事物の形や色は、一層明白かつ平坦に露呈されると共に、その規則的偏光性により様々に変調される。そして屋外でも、その感覚刺激の強烈性は、事物の外観にさらに多様な強調化・歪曲化を生起させる。
こうした近代照明による視覚的抽象作用の反映は、同時代の近代絵画には画派を越えて幅広く観取できる。その事例を、クロード・モネ、カミーユ・ピサロ、エドゥアール・マネ、エドガー・ドガ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ジョルジュ・スーラ、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、キース・ヴァン・ドンゲン、アンリ・マティス、カルロ・カッラ、ウンベルト・ボッチョーニ、ジャコモ・バッラ、カジミール・マレーヴィチ、ミハイル・ラリオーノフ、ナターリヤ・ゴンチャローヴァ、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネー、ラウル・デュフィ、フェルナン・レジェ、ピート・モンドリアン等の作品や証言に基づき多角的に比較検証する。秋丸 知貴


ADD: 発表要旨の追加